「出来れば目つぶって欲しいな」
「いや、怖いから」

「大丈夫だよ」
「・・・でも」

「はい、目瞑って手出して」
「手?こう…?」

「ううん、逆。右手の甲をこっち向けて」
「ひっ、いきなり握らないでよっ」
「そんな怖がらなくても何もしないって」

指先に冷たい感触が触れて、

「目、開けて良いよ」
「・・・な、何コレ」

右手の薬指にしっかりと飾られたのはプラスチックの金色の指輪だった。

「妹から貰ってさ。もう中学になるからおもちゃからは卒業するんだって」

「…」
「嫌だった?」
「ううん」

「お気に召しましたか?」

「左手はまた今度ね」



ゴールドリングを

その指に



(何となく、悔しいから嬉しかったとは言わない)




@biwa.  縁日とかファミレスのとか、おもちゃの指輪っていいですよね(2008)